巨人の肩でダンスを

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宴会の幹事を拒む新人に対処するフレームワーク

忘年会しかり、新年会しかり、職場の宴会の幹事をいまの新人にやらせるなんて時代遅れ、というのが一般的認識になりつつあります。 それでもどうにか頼まないといけないというケースがあるのもまた、日本の職場の現状でしょう。

仮にあなたが新人に幹事を依頼しなくてはいけない立場だとして、頼む方も頼まれる方も、気持ちよく付き合える対処方法を分類してみました。

a. 喜んで引き受けるケース(例外)

おめでとうございます。その新人にはエンターテイナーの素質があります。

とはいえ、「生粋のエンターテイナーである」場合と、「空気を読んでエンターテイナーを無理に演じている」場合があり、後者の場合は少し心配です。 もし少しでも無理をしていそうなら、次の「b. 渋々引き受けるケース」と同様の対処をしてあげましょう。

b. 渋々引き受けるケース

私の観測範囲ではこのケースが大多数です。 彼らは少し嫌な顔をしつつも、それなりに仕事はしてくれるでしょう。

このケースで心配すべきなのは、あなたとその新人の間のディスコミュニケーションです。

いまはインターネットのいたるところで「宴会の幹事を強制してくるパワハラ上司」のエピソードを目にすることができます。 あなたがどんなに思いやりを持って接しているつもりでも、彼らはこの件であなたのことを「ネットでよく目にするパワハラ上司と同類」と思い込んでしまっているかもしれません。そうしてわかりやすい敵を作ってしまった方が、実は本人の気持ちがラクだからです。

しかしそれでは、あなたと新人の長期的な関係に差し障りがあります。 この依頼について率直にどう思っているか、なるべく心理的安全性を高めた状況で聞いてあげましょう。 そして必要に応じて↓のケースに振り分けてみてください。

c. 一旦断ったが、業務指示ならば引き受けるケース

筆者が新人であればこれに該当します。 彼らは、職場での上下関係をプライベートに持ち込むつもりはなく、宴会幹事を依頼するならそれが業務であることを明示してほしいと思っています。

このケースの対処自体は簡単で、「宴会の幹事も仕事である」と認めてあげればいいのです。

普段の仕事と同じように、

  • 業務開始に手続きが必要なら、その手続きを正しく踏みましょう。
  • 幹事は業務時間内にやってもらいましょう。
  • 他の業務は調整して減らしてあげましょう。
  • 余興の準備などで遅くなっていたら、残業を認めてあげましょう。
  • 仕事ですから、相談事はしっかり受けつけましょう。
  • 宴会への出席も仕事になるでしょうから、彼ら自身の飲食費は経費で落としてあげましょう。
  • 彼らがうまく仕事をしたのであれば、きちんと仕事として評価し、報酬にも反映させましょう。
  • 宴会が失敗したら、あなたも責任を取りましょう。
  • もし宴会当日に有給休暇を使いたいと申し出が合った場合でも、文句は言わず、最大限調整してあげましょう。

これらをケアしてあげれば、ある程度まともな仕事観を持った新人であればあくまで「仕事として」取り組んでくれるでしょうし、ここまで寄り添ってくれるあなたへの評価も高まると思います。

このケースで難しいのは周囲の理解を得ることです。 宴会幹事が業務として認められるかについては、まだ一般常識になりきっていない部分があります。

年配の方の中には「とんでもない」と頭ごなしに非難してくる人もいるでしょう。 若い人の中にも、「俺たちのときは業務じゃなかったのに不公平だ」と不満がでるかもしれません。 果ては「お前がナメられてるんだよ」とあなたの先輩としての資質に疑問を呈する輩もいるかもしれません。

そうした意見を抑えて業務として認めてもらうには、強めのメンタルと腕力が必要になるだろうと思います。

それなら宴会は中止しましょうよ」という一言が言えればラクなのですが。

d. たとえ業務指示であっても拒むケース

このケースになると、プロ意識が高いあたなたほど当惑してしまうかもしれません。

「え?仕事なのに断っちゃうの?」と。

心中おだやかではないかもしれませんが、冷静になってください。

この場合、新人の気持ちは何パターンか考えられます。説教モードになってしまう前に、上から順番に確かめてみてください:

d-1. 宴会の幹事よりも重要な業務をすべきだと思っている

これはもっともな意見だと思います。 そして新人とより建設的な関係を構築できるチャンスでもあります。

まず新人に、具体的にどんな業務がより重要で、自分にどんな貢献ができるのか、考えを話してもらいましょう。 そしてあなたは今度の宴会の重要性をプレゼンしましょう。 彼の意見とあなたの意見、どちらがよりこの職場をよりよいものにするか戦わせましょう。

ぶっちゃけると、あなたの勝算は低いです。 宴会よりも重要な業務なんていくらでも見つけることができます。 それでもここまで議論を深められたのであれば、あなたもおとなしく負けを認められるのではないでしょうか。

d-2. 宴会の幹事は会社と結んだ契約のスコープ外だと思っている

彼は契約を持ち出してくるタイプです。

このタイプの新人は実際に労働契約や就業規則、法律などを読み込んで武装していることもあります。 感情的な対処をしてしまうと、大事になって大やけどをしてしまうことになりかねません。 そうなる前にあなたも契約をよく読み込んで、一人の雇用主、もしくはその代理として彼と向き合うことをおすすめします。

もしあなたの職場がジョブディスクリプション制で、業務内容に「宴会の幹事」を入れていなかった場合、どうやっても無理強いすることはできません。 おとなしく引き下がり、上司に来年からジョブディスクリプションに「宴会幹事」を明示することを提案しましょう(冗談です)。

※ こういう話にすぐ契約を持ち出してくる人は一般的には変な人と捉えられがちです。 しかし個人的にはこういう人は好きですし、信頼できると思っています。

d-3. 仕事だろうがとにかく宴会の幹事が嫌。もっと面白いことや自分に合った仕事がやりたいと思っている

このタイプは、上2つよりも自己中心的な印象を受けると思います。

プロ意識が高いあなたほどイライラするかもしれません。

「おまえなぁ、やりたいことだけをやれるのが仕事じゃないんだぞ」

「給料返せ」

などという言葉を吐き捨てそうになってしまうかもしれません。

しかし冷静に考えてみてください。「たかが宴会」です。

宴会の幹事を仕事と位置づけることの危うい側面が実はここにあると思います。 宴会の幹事を探すというつまらない心労からくるあなた自身のイライラを、新人のせいにして彼の弱点探しに陥ってしまっていないでしょうか?

もしかしたら本当にその新人の仕事観に問題があるかもしれませんが、「たかが宴会」を引き金にしてしまうのは後々こじれる原因になることは目に見えています。 その場はいったん怒りをおさめ、別の冷静な機会に指導のチャンスを伺いましょう。

まとめ

宴会の幹事の話はなぜこんなにも人の心を波立たせるのでしょうか。 お互い感情的になってしまう前に、このフレームワークが少しでも役立てば幸いです。

※ 以上は筆者の個人的見解であり、なんら科学的な妥当性はありません。