研究職を始める前に知っておきたかったこと
研究をはじめる前に知っておいて欲しい7つのこと / Welcome to Lab - Speaker Deck
こちらのスライドの内容・優しいまなざしに触発され、研究職として仕事を始める前に個人的に知っておきたかったことを振り返ってまとめました。
主に企業で働いている情報系の研究職を想定しています。
- 1. 「現場」へのリスペクトを忘れない
- 2. マネージャーへのリスペクトも忘れない
- 3. アイデアにこだわる心との向き合い方
- 4. アイデアが潰える恐怖との向き合い方
- 5. 特許⇔優れた発明、ではない
- 6. 搾取的な仕事からは逃げていい
1. 「現場」へのリスペクトを忘れない
現場で働いているメンバーのことを見下しがちなのは、頭のいい研究職若手あるある。
- 現場の人が日々稼いでくれているからこそ研究ができている
- 自分の研究成果をビジネスにつなげてくれるのも現場の人である
ということを忘れずに。
もちろんひどい人間性の人もいるかもしれないが、それは現場全体が悪いのではなく、その人が悪い。
「現場は〜」と主語の大きな批判をぶつようになってきたら黄信号。
2. マネージャーへのリスペクトも忘れない
マネージャーが自分の研究領域に詳しくないとき、すぐに「無能」と断じてのも研究職あるある。
目先の儲けを生み出さない研究職が存在しているということは、経営陣に存在意義を訴え続けてくれている人がどこかいる。
「縁の下の力持ちにツバを吐きかける」ようなことにならないよう気をつけよう。
3. アイデアにこだわる心との向き合い方
自分がいいと思っているアイデアを、周囲もそう思ってくれるとは限らない。
自分のアイデアを引っ込め、相手のアイデアのほうが優れていると認めることも時と場合によっては必要。
自分のアイデアにこだわっているとき、自分の尊厳すらも一緒に賭けてしまっていないか、注意しよう。
4. アイデアが潰える恐怖との向き合い方
構想をめぐらすことばかりをして、アウトプットを出せなくなっているメンバーがたまにいる(私も一時期そうだった)。
研究プロジェクトはスパンが長いため、長く大切に温めてきたアイデアに対して白黒つく瞬間の恐怖は大きくなりがち。
白黒つく瞬間に持っていけること自体が希少な人材の証である、と理解して勇気を持とう。
5. 特許⇔優れた発明、ではない
特許がとれていることと、優れた発明であることを同一視はできない。
素晴らしい発明なのに特許がとれない・あえてとっていないこともあるし、「なんでこんなのが」という特許もたくさんある。
特許制度は単なる選択肢であって、必ずしも完璧なシステムでもない。
特許審査がなかなか通らないことに対して、必要以上にフラストレーションを感じる必要はない。
6. 搾取的な仕事からは逃げていい
多才な研究職は、ときに搾取的な扱いを受けてしまうことがある:
例えば:
- プログラミングができるため、研究のついでに関係ない開発の依頼が回ってくる。
- プレゼンがやたらうまいため、毎回客先へ同行してほしいといわれる。
- リーダーシップがとれるため、いつのまにか研究ではない業務のリーダーを務めてしまっている。
必ずしも周囲に悪意があるわけではなく、単に研究職という珍しい職種への理解不足であることが多い。
理解した上で搾取してくる人からは、絶対に距離を置こう。